鵬の着地 [小話(こばなし)]

荘子逍遥遊編の始めのトコ
大昔、北の海に魚がいた、名前は鯤、大きさは数千里もある大魚である
鯤はある日、鵬という鳥になった
鵬もまた大きく翼を広げると天を覆うほどになる
鵬はまた鳳とも言った
鳳凰。太平の世に現れる瑞鳥である


今でもそれは着地ではなく墜落だと思うのだが
昔のある朝、鵬が着地した
鵬は今の地名でいうとヒマラヤ山脈にひっかかり
セイロン島に片足を残し
インドネシアあたりをのたくって
南半球にてやっと停まった

斉天大聖がそれを知らせてきたので
神医たる腕を振るうべく共に金斗雲に飛び乗って
鵬の所へ向かった、いわゆる往診
紹介が遅れたが私はカダ。医術の徒である
南の海に鵬はぷかぷか浮かんでおり
私は鵬の上に降り立った
問診をし
触診をし
打診もする
どうやら肺を病んだようで
それは人間が製鉄を思いつき
木を切って燃やした煙を長年吸い込んだからだろう
タバコじゃないな
胸を切り開いて肺を取り出して洗えば治るかもしれないと
鵬に言ってみたが
むちゃを言うなという顔で一瞥されてしまった
鵬も長く生きたので潮時なのかもしれないと私も思うし
鵬もまたそう思っている
生きてる以上死があるのはしかたない事だ
世間話をし共に酒などを呑んで痛み止めを渡して私は戻った
結構ひどい医者かもしれない




そして
盤古がユーラシア大陸になったように
鵬はオーストラリア大陸となった
かの大陸に変わった動物が多いのは鵬の性格による所が大きく
世界一大きいと言われる岩は鵬がエベレストにぶつかったタンコブの名残である。
かの地を走る鳥エミューに昔日の鵬の面影をみる事ができる
  

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