「琵琶法師」 [小話(こばなし)]

母親の腹の中に三年いた赤ん坊がいる
三年寝太郎だろうって?その大元になる話さ
三年経って生まれた子供は長々と黒髪をたらし
口には歯が生えそろって大きな犬歯が目を引いたそうだよ
人ならぬ鬼の子だと皆がいうので
京都のお寺に押し込めて鬼若と名づけて坊主にしようとしたそうだ
大変な大力でまさに鬼の子のようだったと言うよ
京の都の五条のボロ橋で牛若というに喧嘩で負けるまでは
一切合切負け知らずだったということだ
負けた鬼若はその後、牛若の後ろを付いて歩いたそうだよ
牛若というのは源氏の棟梁の血筋で顔には天下取りの相があったそうだ
牛が前になり鬼が後ろになった格好で
当時、日の本を牛耳っていた平氏を二人で根こそぎさ
正か邪かはとにかく、まったくもって強すぎて、これは危ないってんで
そいつらの首につけたのが祇園精舎の鐘なのさ
奴らがくると諸行無常の鐘の音がして全てが変ってしまうよ
根こそぎにされた平氏みたいに
チリンチリンとなる鐘の音がしたら気をつけることだよ




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