「ハモニカ」 [小話(こばなし)]

とても昔から、人々は同じ歌を歌っている。

歌は例えで、皆が同じことを示している。
昔から連綿と続いている事だ。
太古の洞窟の絵、傾く塔、プラスチックの皿、流れる音楽、都市の形
皆、同じ事だ

「なんでだろうね?」
「この星に生まれたからかな」

何をしていても、深い所で、私たちがやっていることは、いつも同じだ。
皆が、同じことを違う方法で表現している。
意味はわからないけど、同じなのは判る

「ほんとは、なんて言っているんだろう?」

皆で、同じ意味のことを違った形で表している
文章にし、歌い、踊り、昼寝し、泳ぎ、走り、酔い
愛にせよ憎悪にせよ、皆同じ事。
同じ何かしらを表してる。

ただ、その明快な意味が私たちには判らない。
時を経れば、判るものなのか?
それとも、まったく違った、知性に出会わなければ無理なのか?

判らないまま、私たちは皆、歌う。

「ただ、とても良い意味のような気がするんだ」
「それには、同意させてもらうよ」
「この意味が、わかる日がくるのかな」
「別にわかる日がこなくても、僕はかまわない」
「そうだね」
「大事にしている事がさ、実は宇宙人たちのスーパーマーケットまでの行き先を示す看板みたいなモノだったら嫌だもの」




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